ニューヨークのQUEENS PUBLIC LIBRARY(クイーンズ公共図書館)が提供するイベント『Culture Connection: An Evening with Award-Winning Author Edwidge Danticat and Vocalist Pauline Jean』(ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの著者エドウィージ・ダンティカとジャズシンガーポーリン・ジョンのカルチャー・コネクション「文化的つながり」の夜)が、2月26日、夜7時(日本時間9時)にfacebookオンラインで開催された。同公共図書館は125周年を迎える。このイベントは、ハイチをルーツにもつ両者がいかにしてアメリカ文化と関わっているのかを議論する。
エドウィージ・ダンティカは、1969年ハイチの首都(Port-au-Prince)ポルトー・プランス生まれ。4歳の時、両親は渡米、祖母と生活していたダンティカと兄も1981年両親と暮らすためハイチを後にした。米国での生活を始めたダンティカは母国語のクレール語とハイチの習慣から抜け切れず、容易に適応できないもどかしさを紛らわすため、暮れや密かに物語りを書き始めた。1994年、『Breath, Eyes, Memory』(『息吹、まなざし、記憶』)、翌年『Krik? Krak!』(『クリック?クラック!』 と立て続けに全米図書館賞のファイナリストにノミネートされた。1997年、ダンティカ一家のdiaspora(ダイアスポラ:故郷から離れ新天地で生活する人々)を描いた『Brother, I’m Dying 』(『愛するものたちへ、別れのとき』)は、National Book Critics Circle Award(全米批評家協会賞)を受賞した。今回の対談では全米批評家協会賞の2回目の受賞作でありStory Prize Award(物語賞、2020)を受賞した『Everything Inside』(2019年)について「家族の死によって起こる親族の体験」をテーマにしたと話した。
一方、ホスト役のニューヨーク市ブルックリン出身でジャズ歌手PAULINE JEAN(ポーリン・ジョン)。ポーリンは、ハイチ系アメリカ人でダンティカと同郷である。ポーリンは、2010年、自主制作のジャズアルバム『MUSICAL OFFERING』でデビュー。ニューヨークのジャズシーンを中心にロシア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、中国などグローバルな活動をしてきた。2016年、自身のルーツであるハイチの伝統音楽とモダンジャズを見事融合させて製作されたセカンドアルバム『NWAYO』(「モワヨ」、クレオール語で中心又は核)からは、自身のルーツに根ざした音楽活動を現在でも行なっている。また同作品の曲「Their Blood, Bondye」ではダンティカと共作した。2020年奴隷制反対と女性参政権のために活躍した黒人女性SOJOUNER TRUTH(ソジャーナ・トゥルース)をトリビュートした『AIN’T I A WOMAN?』(女ではないのか)を引っさげ登場する。