PAULINE JEAN(ポーリン・ジョン)のニューシングル『Ain’t I A Woman(Singing Truth)』は、女性の社会的平等と公正に生涯を捧げたSojourner Truthに敬意を表した曲である。米国の人種差別・人種不平等・性差別がますます加速するなかで発表された彼女の曲を紐解く。
米国NASAのジェット推進研究所は、1997年、火星探査機に古の黒人女性解放活動家に因んだ名前をつけた。Sojourner Truth(ソジャーナ・トゥルース、1797年頃ー1883年11月26日)である。NASAは同探査機名を決定するための作文を募集したところ選考されたのは、コネチカット州ブリッジポート市在住の12歳の少女だった。
ソジャーナ・トゥルースは、女性の社会的地位の向上と権利を生涯捧げた婦人であり、奴隷廃止論者だった。彼女自身も奴隷所有者の家庭で生まれ、羊と供に100ドルでオークションにかけられ、売り飛ばされた経験もある。北部の奴隷廃止論が渦巻く中(南部は奴隷州)、彼女は逃亡奴隷になり、転々と地居をかえる生活をしていた。1851年奴隷廃止論者らの組織が主催した女性の権利会議に出席、歴史的な演説「Ain’t I A Woman(女ではないのか?)」を行い、平等に扱われていない女性差別をはじめとした性差別や奴隷廃止を訴え、世間の知る所となった。
マイノリティ(少数派)が投票する権利のための庇護を目的に修正された投票権法(1965年)、所謂、憲法修正19条100周年にあたる2020年8月、ブルックリンのジャズシンガーPAULINE JEAN(ポーリン・ジョン)は、これを受け、ソジャーナ・トゥルースをオマージュした同演説と同様のタイトル曲「Ain’t I A Woman(女ではないのか?」をリリースした。
トランプ大統領とバイデン大統領候補者の大統領選挙、民主党と共和党の熾烈な投票戦が繰り広げられる中、ポーリンは、投票登録、女性によるリーダーシップ、性差別、女性へのハラスメントが横行する現代社会に訴えかける歌をリリースした。
「19世紀、国は女性を家に留めることに夢中だった。 それは、奴隷にされ、女性らしさを否定され、白人男性と法律から保護されなかった黒人女性たちの話。 その当時、黒人女性は別の存在として生きなければならなかった。 あらゆる否定的なステレオタイプが横行して、女性として思われず、レイプや残虐行為を正当化するための超セクシーな対象でいることにされた」とポーリンは言う。
暖かいムーディーなピアノの韻律にコントラアルトなポーリンの力強い歌声を是非聞いていただきたい。
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